大会プロフィール
☆大会名称: 学生選手権2009
☆日時場所: 2009年1月9日、10日、東京
☆主 催: 学生チェス連盟
☆大会形式: スイス式、6回戦、約30名参加
山田弘平、学生選手権を連覇!
場所は、東京代々木のオリンピックセンター、9日〜10日に行われた
(チェス)学生選手権において、山田弘平(埼玉大学、函館チェスサークル顧問)が
2連覇を達成しました。
7時現在もまだ試合は続いており、同時優勝者が出るかもしれませんが破竹の4連勝の後、
5,6Rを無難にドローでまとめ、早々と優勝を確定しました。
この大会は学生チェス連盟が運営する、チェスの箱根駅伝とも言える大会です。
マスコミにはまったく注目されませんが、日本一の学生を決めるにふさわしい大会であり、
しかも出場者上位は紛れもなく日本のトップクラス。今年の学生チェス名人を決めるものです。
<写真は昨年WMSG(北京)にて>
大きな意味を持つ勝利
山田の優勝は2回目ですが、そのことより、このレベルの大会で、日本チェス界
を代表する第1シードと、第2シードの選手を撃破しての優勝ですから、
より大きな意味を持つ勝利と言えるでしょう。今後も精進してほしいところです。
山田の得点は、5点/6局。最終ラウンド小島さん(慶応大)と、南條さん(東京大)がドローになり、
二人とも4.5点で2位、3位につけています。ただし、現在、第2ボードで栗原さん(東京大)と
馬場さん(早稲田大)の試合が続いており、この試合の結果次第で2位以下の順は変わりますし、
栗原さんが勝てば山田に並びます。いずれにしてもトップ以外は熾烈な順位争いとなっているようです!
速報:順位確定
夜9時に順位確定の報が入りました。以下の通りです。タイブレーク不明なので、同率のところは
順位が同じなのかもしれません。大活躍の栗原さんは最終局を馬場さんに敗れたようです。
1位 山田弘平 2103 5.0
2位 南條遼介 2232 4.5
3位 小島慎也 2308 4.5
4位 馬場雅裕 2237 4.5
5位 栗原大地 1955 4.0
6位 桑田 晋 1989 4.0
7位 入江有樹 2094 4.0
・・・
箱根駅伝のように
運営に当たった学生の方々はご苦労さまでした。運営は大変ですが、大会が無事に終わったときの
達成感はチェスの勝負だけからは求めても得られないものです。また、普段結果に一喜一憂している
(私も含めた)プレーヤーは、チェスをできるようにしてくれる人たちの思いが実感できるはずです。
参加者が多くなり、レベルが上がったことはうれしいことです。やはり若者に魅力がないゲームには
未来がありませんからね。これだけの参加者なら7ラウンド(スイス式の理想は奇数回)にしても
いいでしょう。
この大会が、さらに大きくなり、同じように学生で運営されてきた箱根駅伝のように、
世間の注目を集める大会になってくれることを願っています。
馬場さんのブログ、Behind The Sceneに詳報あり。
多くの才能
チェス大会を見るときにいつも考えるのは、思い通りの結果が出ず再起を誓うプレーヤーのこと。そして、
迫りながらもう一歩の活躍をしたプレーヤーのこと。
この大会では薄葉洋人さん(東北大)が大金星をあげました。
また、栗原大地さん(東京大)は最終局まで優勝にからむ台風の目となりました。この二人には今後、
注目する必要があるでしょう。どちらにも馬場雅裕さん(早稲田大)がからんでいるのは偶然でしょうか。
女子チェス・プレーヤー内田成美さん(東京大)の成績はいつも気になります。内田さんの活躍は、日本中の
女子プレーヤーからチェックされていることでしょう。もちろん、ここ函館の女の子からも。
とにかく、まだまだ多くの才能があふれるこの大会に参加した学生たち、
彼らのチェスにかける思いに期待します。日本チェス界をもっと活気づけてほしいものです。
大会の写真
9月にはチェス・オリンピアード。日本代表たちの活躍にも期待しています!
馬場さんに写真提供を感謝します。(Behind The Scene)
インタビュー(全文)
以下は、コンビネーション121号に掲載した弘平への「緊急インタビュー」全文です。
記録のためにここに掲載しておきたいと思います。学生選手権2009のレポートについては、
大会レポートの方に特集
があります。
学生選手権優勝おめでとうございます。失礼ながら、
番狂わせ(失礼!)と言われた2番に勝ったことを含めて、前学生名人の意地を見せたと思いますが、
連覇していかがですか?
小島君とのゲームは黒番だったこともあり、ドローでいいと思っていたら、
予想以上に良くなってびっくりしました。大会前はあまり意識していませんでしたが、
このゲームに勝ったことで連覇を狙ってみようという気になりました。
棋譜を見て感じたのですが、対上位戦はもちろん、
どのラウンドも気の抜けない、結構ぎりぎりのゲームでしたね。
特に南條さんとの1局は見ごたえある壮絶な長期戦ですね。
1、2Rは上位者にとって楽なあたりになることが多いですが、
今回は慶応の大塚さん、東大の石原君と気の抜けない相手が続きました。その流れで小島戦、
南條戦に集中してのぞめたのが大きかったかも知れません。
南條君は深い読みと正確な局面把握力を武器に戦うプレーヤーなので、彼とのゲームは毎回楽しみです。
このゲームではお互いに持ち時間を使い切りましたが、
時間切迫の中でも集中して読み合いを続けることができたのが勝因だと思います。
まあ、指している時は冷静なつもりでも、後から見たら棋譜が
めちゃくちゃになっていたので、実際はかなりパニックになっていたようですが(笑)。
いえいえ(笑)、見ごたえありました。
函館チェスサークルの顧問として、昨年はレクチャーもありました。
函館の子どもたちにアドバイスをお願いします。
勉強でもチェスでも何でもそうですが、
上達するには「学ぶ」ことが欠かせません。そして「学ぶ」ことを続けるためには
好きにならなければいけないでしょう。
少しでも長い時間チェスに触れて、楽しみを見つけることが上達への第一歩だと思います。
なるほど。
埼玉大学では将棋部の部長ですよね。将棋とチェスはどちらも優れたゲームですが、
それぞれの魅力を教えてください。
難しい質問ですが、将棋は中終盤から一気に激しくなっていくのが魅力です。
持ち駒というルールがあるおかげで、予測しないところからパンチが飛んできたりするので、
スリルがあります。
チェスは序中盤からコツコツポイントをかせいでいくのが好きです。
もちろんトリッキーなタクティクスを読むのも好きですが、
最近はポジショナルな考え方に重点を置いて指すようにしています。
最後に、今後の目標をお願いします。
今年はオリンピアードがあるので、
まずそこできちんと実力を出し切って戦えるようにがんばりたいと思います。
今回の学生選手権やClosed Trainingではオープニングの知識のなさも分かりましたので、
序盤に関しては今からしっかり準備していこうと思います。
チェス選手を目指す子どもたちへ貴重なアドバイスがありましたね。
やらせのようで申し訳なかったですが、
大きなコネ(?)を利用してインタビューに協力していただきました。
インタビューを終わります。
4Rのゲーム
Yamada,K vs Nanjo,R 2010.01.10
1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6
5. Nc3 a6 6. Bc4 e6 7. Bb3 b5 8. Bg5 Be7
9. Qf3 Qc7 10. O-O-O Nbd7 11. e5 Bb7 12. Qg3 Nxe5
13. Bxe6 fxe6 14. f4 Bc8 15. fxe5 dxe5 16. Rhe1 b4
17. Bxf6 gxf6 18. Ne4 Rf8 19. Nf3 Bb7 20. Qh4 Rf7
21. Qh5 Bd5 22. Neg5 Bd6 23. Nxf7 Qxf7 24. Qh3 Bf8
25. Kb1 O-O-O 26. Nd2 Kb8 27. Nb3 Rc8 28. g4 Qc7
29. Rd2 a5 30. Qf1 Bc4 31. Qxf6 a4 32. Nc1 Bg7
33. Qf3 Bd5 34. Qe3 e4 35. Ne2 Ka8 36. Nd4 Be5
37. Nxe6 Qc4 38. b3 Qc6 39. Nd4 Qa6 40. Qe2 Qa7
41. Qb5 Rc5 42. Qe8+ Bb8 43. Nb5 Qa5 44.Rxd5 axb3
45. axb3 Rxc2 46. Kxc2 Qa2+ 47. Kc1 Qa1+ 48. Kd2 Qb2+
49. Kd1 Qb1+ 50. Ke2 1-0