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上杉君が世界一に! [2012.05.28] >トップ

上杉君がタクティクス・トレーナーでレイティング世界一に!

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レイティング世界一に!

 ネットにはチェスの実戦問題を解いてその実力を競うサイトがいくつかあります。 その中でも、おそらく世界最大のサイトが Chess.com のタクティクス・トレーナーでしょう。 そのサイトで名誉会員の上杉晋作君が世界一となりました!

初の3600オーバー!!

 しかもレイティングが世界初の3600オーバー。これは快挙です!!

photo

Chess.com のサイトよりの証拠スナップ


   リンク: チェス・コムタクティクス・トレーナー

チェス教室公式戦(3)とまちセン例会公式戦の結果 [2012.05.27] >トップ

チェス教室1期公式戦の結果

 Aグループ3ラウンド

1学期公式戦A 3ラウンド 2012.05.25
ボード 白 番 結 果 黒 番
 内田 大河   0-1   佐藤  翼 
 金城 康弘   0-1   今野  周 
 田中 春行   1-0   山田 真明 
 金城 琉菜   1-0   渋谷 快成 
 髙津 大洋   0-1   金城透弥 

 

 Bグループ2ラウンド

1学期公式戦B 2ラウンド 2012.05.11
ボード 白 番 結 果 黒 番
 斉藤  周   1-0   甲斐 駿佑 
 篠原可楠子   1-0   菅原 靖加
 富田 彩音   0-1   小林 由佳
 桑原 博暉  1-0  高橋 雅琴 
 桑原 俊樹   0-1   高橋 雅音 
 石橋 洸太   0-1   木村 勇成 
 甲斐 竜也   0-1   斉藤  麒 
   篠原 丈志   1/2   バイ 

 

まちセン例会公式戦の結果

例会公式戦 2012.05.27(1)
ボード 白 番 結 果 黒 番
 高橋 栄三  0-1   松浦  誠 
 佐々木 翼  1/2-1/2   渋谷 快成 
 金城 琉菜 0-1  山田 明弘 
 金城 透弥  0-1   佐藤  翼 
 金城 康弘   0-1   田中 春行 

 

例会公式戦 2012.05.27(2)
ボード 白 番 結 果 黒 番
 渋谷 快成  0-1   金城 透弥 
 松浦  誠  0-1   天   風 
 田中 春行 1-0  佐藤  翼 
 金城 琉菜  0-1   佐々木 翼 
 高橋 栄三   0-1   金城 康弘 

2012 チェス世界選手権(2) [2012.05.24] >トップ

 がぜん面白くなってきたマッチ

 史上最短手数のゲーム

anand     gelfand 

 先週「コンビネーション」の記事でご紹介した世界選手権のマッチがありました。 このサイトでは続けて「期待していただけにこのマッチは残念」と評価しました。 実際に6ラウンドまではそうだったのです。すぐにドローが確定してしまうような動きの少ないゲームが続きました。どちらもしっかりとマッチの準備を していたからというのがその理由だったのでしょうか。

 しかし、7ラウンドで挑戦者ゲルファント(イスラエル、右写真)が勝ってからマッチはがぜん面白くなってきたした。 追い詰められたかに見えたチャンピオンのアナンド(インド、左写真)ですが、直後に巻き返すことに成功しました。 何と17手でゲルファントが投了、これはチェスの世界選手権史上最短手数のゲームなのだそうです!

 Players
Rtng
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
Tot.
 Vishy Anand
2791
½
½
½
½
½
½
0
1
½
½
½
½
 Boris Gelfand  
2727
½
½
½
½
½
½
1
0
½
½
½
½


 (このあとラピッドのタイブレーク2.5対1.5により、アナンドの勝ち)

 5月10日~31日 モスクワ、トレチャコフ美術館にて
 世界チャンピオン:ヴィスワナーサン・アナンド(インド)42歳
 挑戦者:ボリス・ゲルファント(イスラエル)43歳

 アナンドが有利?

 注目の8ラウンドはゲルファントに大きなアドヴァンテージがありました。ところが持ち時間がない中、 アナンドは正確に受けきってドローを「勝ち取り」ます。こうなると、残す3ラウンドのうち2ゲームが白番の アナンドが有利なのですが、果たしてどうなるでしょうか。

 インターネットのライブ中継

ライブ中継 >>> http://moscow2012.fide.com/en/

 インターネットのライブ中継は非常に見やすい画面で緊張感があり、しっかりと解説(英語)がついて 一度は見る価値があるものでしょう。

アニッシュ・ギリの日本語解説(9ラウンド) >>> http://www.anishgiri.nl/html/jpn/news.html

 2012米国チェス選手権 [2012.05.21] >トップ

 ヒカル・ナカムラ(中村光)が劇的な優勝

nakamura
© Official site

 ヒカル・ナカムラ(中村光)が3度目の米国王者になりました。
リードしていた強敵ガータ・カムスキーを黒番ナイドルフで撃破し、直接対決を制しています。 それにしても強い。米国のブリッツ・キングは確実にクラシカル・チェスの分野で世界一をねらっています。

 ヒカルは日系人で大阪生まれだそうですが、育ちも国籍も米国です。

 チェス教室の授業より [2012.05.20] >トップ

 ブリッツ練習

photo

 合同で

 5月18日のチェス教室は、A班B班合同でした。B班にはかなりハイレベルを承知でポーン・エンディング(下図)の 問題を解いてみました。テーマはトライアンギュレーションです。

 その後、5ラウンドの超早指し、ブリッツの練習です。真ん中の生徒の伸びが大きく、 上位の生徒の伸びが鈍いことが結果から推察できました。解決すべき課題が多いことが分かりましたが、 久しぶりの合同授業に落ち着きと活気があったような気がします。これからもときどき合同にしましょう。

photo

 練習ブリッツの結果

 練習でしたが、上位の結果を書いておきます。 5勝したのは講師の山田真明、4勝は金城透弥君、髙津優大君、渋谷快成君、田中春行君、髙津大洋君の5名でした。 この5名は常に優勝をねらう位置にいることを自覚してほしいです。

 B班で3勝したのが、篠原可南子さん、木村勇成君、高橋真琴君の3名でした。よく勝ち越しましたね。(ただし、7ラウンド以上必要なのに5ラウンドしかしていないので正確な順位ではありません)

 負けても気にせずに何回もチャレンジ

 ブリッツは所詮早指しなので本物のチェスではありませんが、ブリッツが強いに越したことはありません。 有効なチェスのトレーニングですし、普通は実力に比例します。「時間がないから」と言い訳しても、 相手と同じ条件なのですから、毎回勝つつもりでがんばってみてください。 負けても気にせずに何回もチャレンジすることが大切!

 ポーン・エンディング

 チェスは単純??

 図1 白番白勝ち
position

 チェスは奥が深い。でも将棋ファンの方からは、よく次のような反応が帰ってきます。 「チェスは駒が少なくなるから将棋より単純だ」と。反論したくなりますが、 敢えて次の問題を提示するだけにしたいと思います。

 この(単純な?)問題に正解するには、チェスの終盤知識と正確なテクニックが必要です。

 チェスだけがもつ美しさ

 図1から

1.Ke5!

 他の手もあるが、これが一番早い。失敗なのは 1.c6+ ? Kc8! (1...bxc6+? 2.Kc5 Kd8 3.Kd6! Kc8 4.Kxc6 Kb8 5.b7白勝) 2.Kd6 Kb8! 3.Kd7 bxc6 までで、ドロー。

1...Kc6 (1...Ke7 2.c6 白勝)
2.Kd4 Kd7
3.Kd5
(図1)

 図1と同じポジションだが、今度は黒番になっている。黒は動きたくないが、パスができない。 ツークツワンク!

 特に、このように三角形に動いて手番を相手に渡すことを「トライアンギュレーション」という。

 図2 黒番 白勝ち
position

3...Kc8
4.Ke6!
(ななめオポジション) Kd8
5.Kd6
(次は縦!) Kc8
6.Ke7 Kb8
7.Kd7 Ka8
8.c6

 (図2)白勝。(例えば8...bxc6 9.Kc7 c5 10.b7+ Ka7 11.b8Q+ Ka6 12.Qb6#

 音楽、絵画、文学にはないチェスだけがもつ美しさが、この正解手順の中に存在します。

 18日の教材。コンビネーション 195号(PDF) より (出典はエンドゲーム・マニュアル)

 

2012 チェス世界選手権(1) [2012.05.19] >トップ

チェス世界チャンピオンの座

 5月10日から現王者アナンド(42歳インド)と、挑戦者ゲルファント(41歳イスラエル) がチェス世界チャンピオンの座をかけ、モスクワで戦っています。若い才能が多いチェス界ですが、 結局おじさん二人がトップ争いしているのは面白いですね。

photo
© Official Site

 ご覧のとおり防音ガラスの中、ネット中継されています。報道陣の数に注目! 開会式には元大統領、大使、大臣クラスが列席します。どうか日本の将棋囲碁界と比較してみてください。 チェスは別格です。

通信コンビネーションはもうすぐ200号

 以上、函館チェスサークルの通信コンビネーション195号からです。 コンビネーションはチェス教室、サークル員のために内部の通信や、教材、チェス界の記事を 伝えるために作っているプリントです。もうすぐ200号っていうことに今更ながら驚いています。 195号は 【ここ】 です。PDFで部外者も読めます。 大したものではないですが、ご覧ください。

 ところで、このマッチは今のところ6戦終了し、3対3。ドローばかりで、内容も面白くないという評判です。 主催者、運営は良いみたいなのですが、マッチ自体が盛り上がりません。 「チェスがコンビューターによってつまらなくされた」という意見も出る始末です。 それなら他の大会もそうだと思うのですが、期待していただけにこのマッチは残念です。

 まちセン例会 [2012.05.13] >トップ

 まちセン例会 5月13日 

 公式戦記録 

 函館の球場で日本ハム対西武ライオンズの試合が行われたこの日、サークルの例会を行いました。

 30秒累加のフィッシャー式に慣れるため、1回目は持ち時間を20分+30秒累加にして行いました。 これだと1時間半程度で終わります。2回目は30分切れ負けのラピッドでした。琉菜ちゃんは2ポーン・ダウンのクイーン・エンディングをあきらめず、難しい手順をまちがえずにパーべチュアル・チェックによって 山田からドローを取りました。(下参照)また、透弥君は練習ブリッツでドローを避けて攻撃を続けて山田から勝ちを取りました。

 琉菜ちゃんの好手

図1 黒番35手目 (白番が琉菜ちゃん)
position

 琉菜ちゃんの好手をご紹介。図1は白琉菜ちゃんが2ポーン・ダウンのエンディング。 彼女のレベルだと、もうすでに勝負は決まっている局面。 しかし、この形ではひとつだけ逆転をねらえる筋があります。

35...a3??

 不注意な手。互いに持ち時間切迫とは言え、ここは当然、 35...Qb3 くらいで黒の勝ちとするべきところでした。(35...Kg7 でも安全勝ち)指した瞬間に気づき、しまったと思ったのですが、まだ試すべき場面があります。

36.Qb8+ Kg7
37.Qe5+ Kh6
38.Qf4+ Kg7
39.Qe5+ f6
40.Qc7+ Kh6
41.Qf4+ Kg7
42.Qc7+ Kg8
43.Qd8+ Kg7


図2 白番44手目 (白番が琉菜ちゃん)
position

 図2となったところで白の最善手は?

44.Qc7+!

の白44手、Qc7+が好手。黒は白クイーンの連続チェックから逃れるすべはない。 これをうっかり 44.Qe7+? では紛れてしまいます。

44...Kh6 45.Qxf6 Qb4 ! ・・・

 持ち時間がないところで、正確にドローにしたのは、さすがでした。まだまだという所はありますが、琉菜ちゃんは11歳、女子では全国レベルの逸材だと思います。(お兄ちゃんも強い!)


例会公式戦 2012.05.13
ボード 白 番 結 果 黒 番
 金城 透弥  1-0   高橋 栄三 
 佐藤  翼  0-1   高橋 康弘 
 金城 琉菜 1/2-1/2  山田 明弘 
 金城 康弘  0-1   天   風 
 高橋 栄三   0-1   金城 琉菜 

result

 まちセン例会へのご招待 

 函館チェスサークルの例会は、 まちづくりセンター において、 日曜日の午後1時から5時、研修室かエレベーター・ホールで行なっています。 2週間ごとですが、 カレンダー をご覧になればまちがいないと思います。 大人とか子どもに分けず、棋譜を書いて長く試合ができれば誰でも歓迎します。 日曜の午後にじっくりチェスをしてみませんか?

 見学だけもOK 

 また、大人の方は初心者も大歓迎です。通称まちセン例会のご案内でした。 市内、市外の方を問いません。見学だけもOKなので、ぜひ一度いらしてみてください。

チェス教室1学期公式戦(4) [2012.06.15] >トップ

チェス教室1期公式戦の結果

 Aグループ4ラウンド

1学期公式戦A 4ラウンド 2012.06.08
ボード 白 番 結 果 黒 番
 田中 春行   1/2   佐藤  翼 
 金城 琉菜   0-1   金城 透弥 
 内田 大河   0-1   金城 康弘 
 松浦 勇希   1-0   渋谷 快成 
 髙津 優大   1-0   髙津 大洋 

 

 Bグループ3ラウンド

1学期公式戦B 3ラウンド 2012.06.08
ボード 白 番 結 果 黒 番
 斉藤  麒   0-1   高谷 奈央 
 高橋 雅音   1/2   斉藤  舞 
 篠原 丈志   0-1   斉藤  周 
 木村 勇成   0-1   篠原可楠子 
 甲斐 宥人   1-0   桑原 博暉 
 高橋 雅琴   0-1   石橋 洸太 
 甲斐 駿佑   0-1   中田 翔平 
 甲斐 竜也   1-0   桑原 俊樹 

 結果はチェスリザルツ・コムに掲載!

 この公式戦では、マニュアルといって、手で行なっていました。しかし、都合により、 途中からスイス・マネージャーのちからを借りて行なっています。マネージャーはそんな使い方もできます。 当然、結果は両方共チェスリザルツ・コムに掲載しています。

 チェスリザルツ・コム内 

 Bグループのクロステーブル

 Aグループのクロステーブル

2012年度1学期公式戦(2) [2012.05.11] >トップ

1期公式戦結果

 Aグループ2ラウンド

1学期公式戦A 2ラウンド 2012.05.11
ボード 白 番 結 果 黒 番
 金城 透弥   0-1   佐藤  翼 
 渋谷 快成   0-1   内田 大河 
 髙津 優大   0-1   金城 康弘 
 今野  周   1-0   髙津 大洋 
 中貝 勇作   0-1   金城 琉菜 
 金城 透弥  1-0   中貝 省吾

 田中君が欠席で、2勝は佐藤君、内田君だけです。 5ラウンド以上やるので誰にでも入賞のチャンスがあります。


 Bグループ1ラウンド

1学期公式戦B 1ラウンド 2012.05.11
ボード 白 番 結 果 黒 番
 菅原 靖加   0-1   小林 由佳 
 高谷 奈央   1-0   篠原可楠子
 斉藤  舞   1-0   山上 未咲
 高橋 雅音  1/2-1/2  斉藤  周 
 高橋 雅琴   1-0   木村 勇成 
 桑原 俊樹   0-1   石橋 洸太 
 斉藤  麒   1-0   桑原 博暉 

 公式戦の1回目。試合を経験させるのが目的です。 棋譜を3手まで書かせました。それでも指導は大変でしたが、 次回は5手くらい楽に書けることでしょう。やりながら覚えていくようにする方針です。 また、このレベルなら勝敗はときの運。 レイティングは公式戦4局ないと仮もつきませんので、 どんどんやらせていきたいと思います。

 次回は授業と早指しをします。


 4月のレイティング [2012.05.11] >トップ

 4月のレイティング・リスト

 世界共通の基準

 レイティングという制度はチェス界が始めたもので、点数で実力を公平に比べようというものです。 これによって、世界共通の(JCAのものは国内共通の)基準でチェスの実力を比較することが可能になりました。

 平均1400~1500、100が将棋の1段差に相当。日本トップは2400くらいです。アマとプロ、性別などはまったく関係ありません。 ただしJCAのものは800未満がなく、900以下の子どもたちの正確な差がわかりません。 (JCAに改善を申し入れ中)ですが、ひとつの目安でしょう。

 多くの上位者と試合することが必要

 レイティングは公式戦の戦績だけを計算します。1局でおよそ16点をやりとりします。 上の相手に勝てば多く上がり、下の相手に勝ってもあまり上がりません。ですから、上達のためはもちろん、 レイティングを上げるためにも、多くの上位者と試合することが必要です。

 最近公式戦に参加されたメンバーの4月レイティング・リスト(S82)を下に示します。 今回から更新を佐々木さんにお願いしました。レイティング更新に1局120円かかります。 そのこともご承知おきください。

 函館のリスト、全リストはパスワード付きで公開

 プライバシーの問題があるので函館のリスト、全リストはパスワード付きで公開します。同じパスワードです。以下をクリックしてください。

【  函館のリスト 】   【  レイティング・リストS82

 ゲーム・アナリシス [2012.05.03] >トップ

アニッシュのゲーム解説のご紹介

photo

© Official Site

  クラムニック対アロニアン(チューリッヒ・チェス・チャレンジ)

図1 黒番 クラムニック - アロニアン
position

 先月末にスイスのチューリッヒにてレイティング2800を超える二人の親善試合が行われました。 親善試合といっても賞金のかかったマッチであり、お互いに真剣勝負のレベルが高い内容でした。 これをアニッシュ・ギリが 公式サイト解説 しています。日本語で読める現GMの解説は大変貴重。 チェス教室の生徒はもちろん、日本のチェスファンの方々にぜひご覧になっていただきたいと思っています。

 その中でも特に興味深い場面です。図1は第1局、白のクラムニックが 16.Nd5 とクイーンに当てた ところです。

 実はここまでグニーナ - ムジチュック戦とまったく同じです。 先日行われたヨーロッパ女子選手権の最終ラウンドで、白番グニーナが勝ち、劇的優勝につなげた試合でした。

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欧州女子選手権最終局 ムジチュック(左)とグニーナ(右)

 New In Chessマガジンに、彼女の自戦記が掲載されていますが、その中で彼女は Nd5 を次のように解説しています。

 『16.Nd5! 好手。この挿入手を、黒番アンナが見落としたのだと思う。』

 しかし、同じ手をアニッシュは次のように分析しています。

 『悪手。まだ Gunina-Muzychuk をなぞっている。(16. cxd7 Rxd7 17. Qe2 のほうが安全だった。) 白は少し悪いけれど、dファイルでルークを変えてしまえば、事はより単純になっていた。』

  同じ手にまったく正反対の評価

 同じ手に対して、一方は好手。一方は悪手、まったく正反対の評価です。 どうしてこんなことが起こったのでしょうか?? ちなみにグニーナは 2511の強豪です。

図2 白番 クラムニック - アロニアン
position

 クラムニックもアロニアンも、このゲームを知らなかったはずはありません。そのゲームをなぞった両者ですが、 図1で黒番アロニアンが放った新手がこの問題に決着をつけました。

 16...Qe6!

 (ムジチュックの手は 16...Qd6 であり、大事なゲームを落としました。) その後、

 17.cxd7 Rxd7 (図2)

 ・・・となって、アニッシュの解説は、 『ここでは白はトラブルに陥っている。Bb7-d5 が避けられず、黒の戦略的プラスが確保されている。』でした。

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「パパ、クイーンを貼ればよかったのに」
愛娘の指導を受ける局後のクラムニック

 つまり、図2の局面を黒のやや優勢だと正確に評価できるかどうか、それが分かれ目だったのです。 (フランスのGMペレチエも、マッチの公式サイトで黒やや優勢と解説していました。) 自分の頭で考えたアロニアンが勝ち、実戦を鵜呑みにしたクラムニックの負けでした。

 アニッシュはあっさり書いていますが、図2は、非常に判断が難しい所です。事実、筆者にはよく分かりません。訳を担当した山田弘平は図2に対して以下の補足をつけています。

  【白には明確な主張がないのに対して、黒は d5 を攻めるという目標がある。 中盤で浮いた e3 ルークの働きがぼやけていることにも注目すべきだろう。】(【 】は訳者の補足です。)

 このような局面では、コンピューターの解析がそのまま通用しません。棋譜情報をチェックし、 自分なりの評価を加えて実戦で試すのがプロの世界。 それでも、このように評価が分かれることも少なくない。そうした事例に出会うと、あらためてチェスの奥深さ、そして アニッシュの解説 のレベルを再認識した気がしましたが、いかがでしょうか?


 マッチの結果

 マッチの結果は互いに1勝1敗4ドローの引分けと、あまり面白くないものでしたが、このレベルのプレーヤーが 何のタイトルもかけずにマッチを行い、インターネットで解説付きの中継をしたのは例がないそうです。 また、ゲームの内容はとても楽しめましたし、短手数でドローのときは観客のためだけにラピッドを行うことになっていました。 (実際4ラウンドに行い、アロニアンが勝ち観客を楽しませましたが、マッチの戦績には入りませんでした。) その意味でもチューリッヒ・チャレンジの「挑戦」は成功したと言えるのではないでしょうか。

 <文責:山田明弘>