最もスリリングなゲーム
絶対の一手は?
今年の北海道選手権でも熱戦が多くありましたが、最もスリリングなゲームは、山田vs.西森戦でしょう。
この3ラウンドのカードを勝った方が優勝に大きく近づくことは明らかでしたが、その内容もすごかった。
途中図はそのまま問題として出題しても鑑賞に耐えるものでしたのでご紹介します。
序盤は山田真明が勝勢になりましたが、これを西森さんがじわじわと盛り返して、図1の局面としました。
ご覧のとおり、ほとんど黒が勝ちなのですが、白には最後の手段が残されていました。絶対の一手は?
30.Qxf3 exf3
31.Rxe5+ Kd6
32.Bf4 Qh3
これで図2です。黒のねらいは Qg2# です。しかし、直接防ぐ手はありません。
白は絶体絶命に見えます・・・が、実は勝ちとなる素晴らしい手順がありました。
その手以外に勝ちはありません。
ぜひ当ててみてください!!
美しい正解手順!
では、正解手順です。盤上この1手は、・・・
33.Re6!!
一見、「そんなはずはない」と思う手です。しかし、勝つならこの手しかありません。以下、
キングがクイーンサイドに逃げると、33...Kc5 34.Rc6# で、
簡単にメイトですから、ルークをキングで取るしかありませんが、 33...Kxe6 34.Re1+ Kf5 35.Bd7! Kxf4 36.Bxh6(図3)
となってみると、黒はメイトを消されただけでなく、ピース・ダウンとなっています。
粘ることはできますが、リザインしたいくらいの局面でしょう。
あるマスターから「国内の試合では見かけないレベル 」と言われましたが、
まるで作った問題のような美しい正解手順ではないでしょうか。
奇跡的な結末・・・
両者の健闘とチェスの奥深さをたたえたいとおもいますが、実はこの話にはオチがあります。白はこの手が見えていて指さなかったのです。(全道レベルなら指せる手でした!)そして、両者とも疲れからか、ミスを交換し合い、最終的に白が勝ちました。
それも奇跡的な結末だと思います。どっちが勝ってもおかしくない試合でした。
「その手は読めていたのに・・・」と悔しい思いの対局者。その気持ちを汲み、実戦手順はカットしますが、
残念でした。その手を指していたら、北海道チェス界の伝説になったでしょう。
教訓: プロのゲームだけではない。自分のゲームにも名場面は現れる!?