インタビュー(全文)
以下は、コンビネーション121号に掲載した弘平への「緊急インタビュー」全文です。
記録のためにここに掲載しておきたいと思います。学生選手権2009のレポートについては、
大会レポートの方に特集
があります。
学生選手権優勝おめでとうございます。失礼ながら、
番狂わせ(失礼!)と言われた2番に勝ったことを含めて、前学生名人の意地を見せたと思いますが、
連覇していかがですか?
小島君とのゲームは黒番だったこともあり、ドローでいいと思っていたら、
予想以上に良くなってびっくりしました。大会前はあまり意識していませんでしたが、
このゲームに勝ったことで連覇を狙ってみようという気になりました。
棋譜を見て感じたのですが、対上位戦はもちろん、
どのラウンドも気の抜けない、結構ぎりぎりのゲームでしたね。
特に南條さんとの1局は見ごたえある壮絶な長期戦ですね。
1、2Rは上位者にとって楽なあたりになることが多いですが、
今回は慶応の大塚さん、東大の石原君と気の抜けない相手が続きました。その流れで小島戦、
南條戦に集中してのぞめたのが大きかったかも知れません。
南條君は深い読みと正確な局面把握力を武器に戦うプレーヤーなので、彼とのゲームは毎回楽しみです。
このゲームではお互いに持ち時間を使い切りましたが、
時間切迫の中でも集中して読み合いを続けることができたのが勝因だと思います。
まあ、指している時は冷静なつもりでも、後から見たら棋譜が
めちゃくちゃになっていたので、実際はかなりパニックになっていたようですが(笑)。
いえいえ(笑)、見ごたえありました。
函館チェスサークルの顧問として、昨年はレクチャーもありました。
函館の子どもたちにアドバイスをお願いします。
勉強でもチェスでも何でもそうですが、
上達するには「学ぶ」ことが欠かせません。そして「学ぶ」ことを続けるためには
好きにならなければいけないでしょう。
少しでも長い時間チェスに触れて、楽しみを見つけることが上達への第一歩だと思います。
なるほど。
埼玉大学では将棋部の部長ですよね。将棋とチェスはどちらも優れたゲームですが、
それぞれの魅力を教えてください。
難しい質問ですが、将棋は中終盤から一気に激しくなっていくのが魅力です。
持ち駒というルールがあるおかげで、予測しないところからパンチが飛んできたりするので、
スリルがあります。
チェスは序中盤からコツコツポイントをかせいでいくのが好きです。
もちろんトリッキーなタクティクスを読むのも好きですが、
最近はポジショナルな考え方に重点を置いて指すようにしています。
最後に、今後の目標をお願いします。
今年はオリンピアードがあるので、
まずそこできちんと実力を出し切って戦えるようにがんばりたいと思います。
今回の学生選手権やClosed Trainingではオープニングの知識のなさも分かりましたので、
序盤に関しては今からしっかり準備していこうと思います。
チェス選手を目指す子どもたちへ貴重なアドバイスがありましたね。
やらせのようで申し訳なかったですが、
大きなコネ(?)を利用してインタビューに協力していただきました。
インタビューを終わります。
4Rのゲーム
Yamada,K vs Nanjo,R 2010.01.10
1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6
5. Nc3 a6 6. Bc4 e6 7. Bb3 b5 8. Bg5 Be7
9. Qf3 Qc7 10. O-O-O Nbd7 11. e5 Bb7 12. Qg3 Nxe5
13. Bxe6 fxe6 14. f4 Bc8 15. fxe5 dxe5 16. Rhe1 b4
17. Bxf6 gxf6 18. Ne4 Rf8 19. Nf3 Bb7 20. Qh4 Rf7
21. Qh5 Bd5 22. Neg5 Bd6 23. Nxf7 Qxf7 24. Qh3 Bf8
25. Kb1 O-O-O 26. Nd2 Kb8 27. Nb3 Rc8 28. g4 Qc7
29. Rd2 a5 30. Qf1 Bc4 31. Qxf6 a4 32. Nc1 Bg7
33. Qf3 Bd5 34. Qe3 e4 35. Ne2 Ka8 36. Nd4 Be5
37. Nxe6 Qc4 38. b3 Qc6 39. Nd4 Qa6 40. Qe2 Qa7
41. Qb5 Rc5 42. Qe8+ Bb8 43. Nb5 Qa5 44.Rxd5 axb3
45. axb3 Rxc2 46. Kxc2 Qa2+ 47. Kc1 Qa1+ 48. Kd2 Qb2+
49. Kd1 Qb1+ 50. Ke2 1-0
アニッシュ君優勝決定
<写真は、Bトップのギリ,アニッシュ君(オランダ)(左)、Aトップのカールセン,マグナス(ノルウェー)>
2004年の北海道選手権、優勝するかに見えた山田弘平が、最終ラウンドで好局を落とし、
下位の番狂わせによる不運なタイブレークで優勝をのがしました。そのときの相手が当時10歳の
ギリ,アニッシュ君でした。今思うと信じられないことですが、札幌の西森さんも、
私も彼にチェスを教えたことがありました。
今、オランダ、バイク・アーン・ゼーでコーラス・チェス大会が行われています。
A,B,Cのグループに分かれて世界中から招待選手が戦う、歴史ある大会であり、
Aグループの優勝はチェス世界一と言っていい大会です。
若手プロの登竜門はBグループ。Bには、そのアニッシュ君が出場しています。
彼はこの大会も並外れた強さで圧倒的トップに立ち、最終戦を残して1点リード、
優勝がほぼ確実になりました。
北海道ゆかりのGMが、いつの日か世界のトップに届きますように!
<写真は、元世界王者クラムニク,ウラジミル(ロシア)、現世界王者アナンド,ヴィスワナサン(インド)>
大会プロフィール
☆大会名称: ハンディ・ブリッツ大会
☆日時場所: 2010年1月29日、函館
☆大会形式: スイス式6回戦、28名参加
☆持ち時間: ハンディキャップあり、5分切れ負けブリッツ
ねことライオン
ねことライオンくらい実力がちがう子どもたち28名が、
どうやって競い合うのでしょうか?
ハンディキャップ付きなら実現します。普段負けている子どもたちには勝つ楽しさを知って
ほしいですし、上位の子には実力のちがいを見せる場です。
とはいえ、かなり新入生に有利な結果となりました。そこで、0点の者は1,2Rは2点ずつ
アップとしたのですが、焼け石に水でした。
実は、新入生が活躍することは、点数分布から考えると「想定の範囲内」です。
先輩たちには悪いことをしましたが、ここは後輩のため、がまんしてもらいました。
ハンディのバランスが悪いことは事実でしょう。
このきついハンディの中で勝率50%の先輩たちは、恐ろしい強さです。
負けて泣く子に期待
負けて泣く子がいました。子どもを泣かすなんて、チェスは残酷です。
しかし、勝負の厳しさを体験する機会は、実は、とても貴重だと思います。
公平なルール、誰のせいでもない、自分が弱いから負ける、努力すると勝てる、…などなど。
そういったことを、心と体を重く傷つけずに、きちんと経験できるのがチェスの
すばらしさのひとつだと思います。そんな場は日常多くないでしょう。
負けてくやしい気持ちをばねにすることが、チェスの上達には必要です。
先生としては、負けて泣く子に期待します!
優勝は全勝の金城透弥君
<ハンディ・ブリッツ大会2010.01.29 入賞者>
優 勝:金城 透弥(6.0点)
準優勝:山上 未咲(5.0点)
第3位:渋谷 快成(4.5点)
第3位:小林 由佳(4.5点)
6回戦行うために無理をして、少し時間が過ぎてしまいました。申し訳ありません。
その6回を全勝したのは、全勝の金城透弥君でした。
未咲さんも渋谷君に負けただけの5勝を取りました。もう1回戦あれば、優勝したかも
しれません。第3位入賞の渋谷君(琉菜さんに負け、晃輔君にドロー以外勝ち)と、
小林さん(真人君にドロー、透弥君に負け以外勝ち)は、常に上位に入ります。
それはぐんぐん伸びている証拠です。
また、以下の参加者たちは勝率50%を越えており、通常のスポーツ大会でいうところの
予選通過、成績優秀者に相当します。がんばりましたね。
5位タイ: 金城琉菜、富田敦志、佐藤翼(4.0)、
8位タイ: 山上晃輔、中貝省吾、笹森芳輝(3.5)、ここまで勝率5割超。
ハンディ・ポイント
函館チェスサークル発行 1月29日〜
名 前 start 1/29 3月 5月 7月 田中 春行 62 65 今野 周 56 56 山田 明弘 54 54 笹森 芳輝 46 50 玉利 真人 45 48 佐藤 翼 42 46 津 優大 43 46 松浦 勇希 42 42 玉利 克夫 38 41 笹森 絢香 38 41 長内 亮太 36 39 齋藤 詢 36 39 土橋 衡充 36 38 佐々木 翼 38 38 津 大弥 33 36 菅原昭須馬 32 34 笹森 雄大 31 33 深見 藍 30 31 深見 大翼 28 28 菅原 和馬 24 27 津 大洋 24 26 渋谷 快成 20 25 細谷 悠希 25 25 小林 由佳 07 12 金城 透弥 01 12 中貝 省吾 03 10 山上 晃輔 00 09 金城 琉菜 00 09 山上 未咲 00 09 二川 愛 03 09 富田 敦志 00 08 中貝 勇作 02 08 富田 彩音 00 01 佐藤里乃佳 00 01 最大変化 +11 最低変化 0
※金城透弥君から中貝勇作君まで+3の調整をしました。(下位二人のため)
棋譜をとる、キングは取らない
1
笹森 絢香
0-1
佐々木 翼
2
松浦 誠
0-1
笹森 雄大
3
松浦 勇希
1-0
笹森 芳輝
4
山上 晃輔
0-1
富田 敦志
5
富田 彩音
0-1
小林 由佳
6
山上 未咲
1-0
佐藤里乃佳
7
二川 愛
0-1
山田 明弘
幼稚園の子を含めた新入生の女子たちに始めて棋譜を10手書かせました。
お母さん方の助けもあり、何とかうまくいきましたが、終わってから「ふーっ」
とため息が聞こえてきました。
棋譜をとる、キングは取らないのが本物のチェス。とはいえ、つらそうです。
それでも、どんどん乗り越えてくれるのがたくましく思えました。
公式戦1Rの後はブリッツで交流です。
笹森姉弟が5戦4勝のトップで先輩の意地を見せました。が、しかし、
うかうかしていられませんよ。強い人とやるのをいやがらない新入生はすぐに
先輩たちに追いつくでしょう。
*** 3期2R ***
画期的な日
小さな女の子、中学生も、十数人が第1ボード近くに集まり、
この戦いを見ていました。
ピースダウンで不利な黒番ですが、白番も決めるのに時間がかかっている場面です。
1手10秒累加の中で、周りの子は黙って、二人の手が交差するのを見ていました。
盤上では白番の見落としから形勢が逆転します。しかし、
今度は黒がなかなか決められません。
が、やがて、白番はキングを倒し、握手を求めました。大きな拍手でした。
勝者にも、敗者にも。
力はまだ全然ちがいます。それでも、とうとうこの画期的な日が来ました。
今野周君(1341)が田中君(1715)にラピッド公式戦で勝ったのです。
(注)このコラムの写真は以前のチェス教室風景であり、記事と関係ありません!
奇跡が当たり前に
これは、先に田中君が先生(1920)に公式戦で勝ったときのように奇跡かもしれません。
でも、そのうち、「奇跡」が「まぐれ」になり、いつか「当たり前」になっていきます。
田中君に悪いですが、指導する者にとってはとてもうれしい日となりました。
成長が著しい子どもたちですが、お互いに伸びているため、抜群に1番の
子に追いつくことはなかなかできません。特にチェスは厳しい世界です。
結果、「あの子には絶対かなわない」というあきらめが集団に生まれます。
田中君が成長するためにも、誰かが田中君に勝ってほしいと思っていました。
そうコンビネーションに書いたときもあります。あれはいつだったでしょう。
田中君は本当に強いので、それは、もうあり得ないとさえ思えました。
この事件はその壁を突き破ってくれました。これから次々に下克上が起きる
予感がします。当然、上に立つものは受けてたたなければいけません。今勝った
今野君もです!
今度は自分が
今回戦っていた二人はすばらしいゲーム内容、マナーでしたが、私がうれしかったのは、
周りに集まって見ていた生徒たちのマナーです。確かに少しうるさい点はありましたが、
上級生は子どもたちを指導していましたし、小さな子もその場に黙っていて、観戦しています。
壮絶な真剣勝負、起こった奇跡を目の前で見た…。その教育的効果は計り知れません。
単純に、チェスの技術を教わる場がチェス教室、ではないことをあらためて知らされました。
これがいわゆる集団の力なのでしょう。
今度は自分がそんな勝負をして、拍手を受けるんだと、その場にいた子は誰もが思ったはずです。
二人の先輩たちが見せてくれた価値あるゲームでした。
優勝はなし
1
田中 春行
0-1
今野 周
2
松浦 勇希
0-1
玉利 真人
3
佐藤 翼
1-0
笹森 芳輝
4
笹森 絢香
0-1
土橋 衡充
5
齋藤 詢
1-0
玉利 克夫
6
笹森 雄大
0-1
津 優大
7
小林 由佳
0-1
渋谷 快成
8
津 大洋
0-1
津 大弥
9
二川 愛
0-1
中貝 省吾
10
中貝 勇作
0-1
金城 透弥
11
金城 琉菜
1-0
山上 未咲
12
佐藤里乃佳
1/2-1/2
富田 彩音
13
富田 敦志
0-1
山上 晃輔
14
佐々木 翼
1-0
深見 藍
この3期公式戦は、できるだけ同じレイティングどうしが対戦し合う、
純粋にレイティング(チェスの成績)のためだけの試合です。3期で
ライバルが誰か知ってほしいですし、新入生は公式戦局数を稼ぎたいです。
よって、優勝とかはなしです。3月からの2010年度1期には、またスイス式に
もどし、優勝を決めましょう。
ペアリングは1,2Rとも周君がやってくれました。次の3Rも
同様にレイティングの近い者どうし、兄弟は避ける方針でお願いします。
(来週はひと休みでブリッツやります)
ところで、お手伝いと言えば、いつもかたづけのときにがんばってくれる
子がいます。中でも津大弥君、大洋君は、まるでかたづけ主任という感じで
とり仕切ってくれて、本当に助かっています。だんだん先生の手間が減って
きました。
このラウンドまで下位ボードは棋譜に○をつけてもらっていましたが、
次のラウンドはいよいよ本物の棋譜を10手くらい書いてもらいます。
覚悟(?)しておいてください。
1月10日例会、16日例会は、公式戦をしませんでした。
プロジェクター成功
1月22日(金)のチェス教室でGMコステニウクさんに授業してもらいました。
といっても彼女が本当に来ることは難しいので、必殺の一手というビデオを
プロジェクターで映写してみんなに見てもらい、成功しました。
私には簡単に思えた問題ですが、やはりレベルはかなり高かったようです。
それでも、みんな楽しんでくれましたし、
女子世界選手権のすばらしい大会運営などを見せることができて、
どのレベルの子にも教育効果あったと思います。今後もプロジェクターが
借りられるならたまにビデオを見せたいと思いますし、大会のときも
活用すれば便利そうです。
チェス必殺の一手
図1の局面はロミユー対コステニウク戦2008年、黒番コステニウクさんの番です。
「序盤で失敗しましたが、中盤に盛り返すチャンスがあり、相手のミスにも
助けられて、今は優勢な終盤にさしかかったところです。」
「持ち時間が少なくなってきた中で、私はうまい戦術(タクティクス)を
見つけました。あなたもどんな手か、次の1手を当ててください。」
(コンビネーション121号に出題)
<解 答>
************************
「私が指したのは1.…b3です。」
「2.axb3、相手は驚いて取りました。
(取らないと2.…bxa2からa1Q)
続いて2.…Rf1+ 3.Kc2
Re1!となり、なぜ私がbポーンをサクリファイス(捨て駒)
したかが分かるはずです。」
「白はg3がふさがっているのでナイトを逃げることができません。
4.Ng3 Rc1#
とメイトになるからです。」(図2)
「そこで、私の相手は5.Re7とナイトをルークで守りましたが、
5.…e6を
見て(ルークが動けないので)リザイン(投了)しました。」
「白に5.Re7以外の手はなかったのか考えてみましょう。」
「もし5.Rd6ならば、
5.…Bg5 6.h4 Kc7白勝ち。」
「あるいは、もし5.Rd7+ならば、
5.…Kf6 6.Rxh7 Rxe2+
7.Kd1 Rd2+ 8.Kc1 Bf4 9.g3と進みます。
またここできれいなコンビネーションがあります。
9.…Rxh2! Rxh2 10.Bxg3+ Rf2 11.e3
です。」
「それでは、バイバイ!」
(ビデオのコステニウクのセリフより)
コステニウク.コム(英語)を参照しました。
*** 3期1R ***
キングを取ったら
小さな挑戦者たちにとっては、ほとんどが初めての公式戦です。今まで早指しで鍛えたので
たぶん何とかなるだろうと始めてみました。
何とかうまくいったのですが、何分かして、大根みたいにキングをにぎった子が言いました。
「先生、キング取れたよ〜」「えっ?…」言っておきますが、キングを取ったらチェスではない。
これには参りました。ブリッツやり過ぎました。
一方、いきなりレイティングの近い者どうしの対戦は、やはりいい練習にはなったと思います。
どのボードも大接戦、しかも高いレベル。最後まで戦った笹森絢香対齋藤詢は長いルーク・エンディング
から、結局二人ともキングだけになってのドローとなりました。
終わって「疲れた〜」とため息ですが、エンディングがあれだけ続けば楽しいはず。
早くちびっ子たちのレベルがそこまで行ってほしいものです。
チェスではエンディングが大切
1
佐藤 翼
0-1
今野 周
2
笹森 芳輝
1/2-1/2
玉利 真人
3
土橋 衡充
0-1
深見 大翼
4
笹森 絢香
1/2-1/2
齋藤 詢
5
津 優大
0-1
玉利 克夫
6
笹森 雄大
1-0
舛井 開
7
津 大洋
0-1
渋谷 快成
8
小林 由佳
0-1
深見 藍
9
二川 愛
1/2-1/2
金城 透弥
10
金城 琉菜
1-0
佐藤里乃佳
11
舛井 彩花
1-0
山上 未咲
12
山上 晃輔
0-1
山田 明弘
思ったことは、下位の持ち時間が30分で十分だったのに対し、上位の持ち時間が短く、
フィッシャー(時間が手数で累加される方式)でないと、大切な終盤戦が超早指しになってしまい、
エンディングがいい加減になってしまうことです。実際にそうなってしまったボードがありました。
これではチェスの実力で勝負できないでしょう。
チェスではエンディングが大切です。極論を言えば一番大切です。
「チェスは駒が少なくなるから将棋より簡単」だという意見をよく耳にしますが、
ポーン1個だけのときさえ複雑怪奇で、チェスのエンディング(終盤戦)は深遠なのです。
今後、上位ボードはできるだけフィッシャーにしてエンディングができるようにしたいですし、
エンディングにもっと興味を持つようにしていけたらいいなと思っています。
大会プロフィール
☆大会名称: 3期公式戦2009
☆日時場所: 2009年1月15日〜2月12日、函館
☆形 式: 審判がレイティングよりペアリング、4回戦
☆時 間:25分+10秒累加(30分切れ負け)
☆注 意:7時20分開始、遅刻20分負け
午後7時20分までに
この3期公式戦は、練り直しをしました。
いろいろと悩んだ末、この3期公式戦は特別に短期間の4ラウンドとしました。
審判がペアリングします。賞は特に設けません。2月末から開始の次期公式戦は、
以前のように大会形式にする予定。
ところで、FIDEでは昨年ルール改正され、開始から1秒でも遅刻すると
負けになりました。実際にそのルールを適用された中国選手2名が話題になりました。
何と彼らは喫煙室でタバコを吸っていたのです!(これは論外)
函館で困っているのが、実は欠席、遅刻の問題です。それぞれ個人的な事情が…。
でも、全員が7時半には来ていたようですので、試合開始7時20分とし、
さらに20分待てるようにすればどうでしょうか。これで困る生徒はいないと思います。
欠席の事前連絡を
万一遅れた場合は、どうか急がずにお願いします。遅刻なら、機械的に試合結果を負けとし、
練習試合にするだけ。誰も傷つきません。(それより交通事故が心配!)
事前の欠席連絡は、今まで通り受付けます。ただし、ペアリングの前にお願いします。
そうでなければ不戦敗。ほとんど欠席なら遠慮せず申し出てください。
別枠で公式戦をすればいいのですから。
次週からこのように厳しくしたいのですが、どうか忌憚のないご意見をお聞かせください。
「厳しく」といっても、常識の範囲です。楽しさを土台にしながらも、
真剣にチェスをしてほしいのです。遊びでやっているのではないのですから。
(コンビネーション120号参照)
ペアリング
ペアリングはなるべくレイティングの近い者どうしになるよう、
審判団に決めてもらいます。
多くの才能
チェス大会を見るときにいつも考えるのは、思い通りの結果が出ず再起を誓うプレーヤーのこと。そして、
迫りながらもう一歩の活躍をしたプレーヤーのこと。
この大会では薄葉洋人さん(東北大)が大金星をあげました。
また、栗原大地さん(東京大)は最終局まで優勝にからむ台風の目となりました。この二人には今後、
注目する必要があるでしょう。どちらにも馬場雅裕さん(早稲田大)がからんでいるのは偶然でしょうか。
女子チェス・プレーヤー内田成美さん(東京大)の成績はいつも気になります。内田さんの活躍は、日本中の
女子プレーヤーからチェックされていることでしょう。もちろん、ここ函館の女の子からも。
とにかく、まだまだ多くの才能があふれるこの大会に参加した学生たち、
彼らのチェスにかける思いに期待します。日本チェス界をもっと活気づけてほしいものです。
大会の写真
9月にはチェス・オリンピアード。日本代表たちの活躍にも期待しています!
馬場さんに写真提供を感謝します。(Behind The Scene)
大会プロフィール
☆大会名称: 学生選手権2009
☆日時場所: 2009年1月9日、10日、東京
☆主 催: 学生チェス連盟
☆大会形式: スイス式、6回戦、約30名参加
山田弘平、学生選手権を連覇!
場所は、東京代々木のオリンピックセンター、9日〜10日に行われた
(チェス)学生選手権において、山田弘平(埼玉大学、函館チェスサークル顧問)が
2連覇を達成しました。
7時現在もまだ試合は続いており、同時優勝者が出るかもしれませんが破竹の4連勝の後、
5,6Rを無難にドローでまとめ、早々と優勝を確定しました。
この大会は学生チェス連盟が運営する、チェスの箱根駅伝とも言える大会です。
マスコミにはまったく注目されませんが、日本一の学生を決めるにふさわしい大会であり、
しかも出場者上位は紛れもなく日本のトップクラス。今年の学生チェス名人を決めるものです。
<写真は昨年WMSG(北京)にて>
大きな意味を持つ勝利
山田の優勝は2回目ですが、そのことより、このレベルの大会で、日本チェス界
を代表する第1シードと、第2シードの選手を撃破しての優勝ですから、
より大きな意味を持つ勝利と言えるでしょう。今後も精進してほしいところです。
山田の得点は、5点/6局。最終ラウンド小島さん(慶応大)と、南條さん(東京大)がドローになり、
二人とも4.5点で2位、3位につけています。ただし、現在、第2ボードで栗原さん(東京大)と
馬場さん(早稲田大)の試合が続いており、この試合の結果次第で2位以下の順は変わりますし、
栗原さんが勝てば山田に並びます。いずれにしてもトップ以外は熾烈な順位争いとなっているようです!
速報:順位確定
夜9時に順位確定の報が入りました。以下の通りです。タイブレーク不明なので、同率のところは
順位が同じなのかもしれません。大活躍の栗原さんは最終局を馬場さんに敗れたようです。
1位 山田弘平 2103 5.0
2位 南條遼介 2232 4.5
3位 小島慎也 2308 4.5
4位 馬場雅裕 2237 4.5
5位 栗原大地 1955 4.0
6位 桑田 晋 1989 4.0
7位 入江有樹 2094 4.0
・・・
箱根駅伝のように
運営に当たった学生の方々はご苦労さまでした。運営は大変ですが、大会が無事に終わったときの
達成感はチェスの勝負だけからは求めても得られないものです。また、普段結果に一喜一憂している
(私も含めた)プレーヤーは、チェスをできるようにしてくれる人たちの思いが実感できるはずです。
参加者が多くなり、レベルが上がったことはうれしいことです。やはり若者に魅力がないゲームには
未来がありませんからね。これだけの参加者なら7ラウンド(スイス式の理想は奇数回)にしても
いいでしょう。
この大会が、さらに大きくなり、同じように学生で運営されてきた箱根駅伝のように、
世間の注目を集める大会になってくれることを願っています。
馬場さんのブログ、Behind The Sceneに詳報あり。
棋譜の書き方
初級コースは棋譜の書き方を勉強しました。幼稚園、小学生の子にとって、
難しいことは百も承知。しかし、習うより慣れろです。
ABCを書く練習、盤面の読み方、そして実際にクロックと駒を使って、
棋譜を11手目まで書いてみました。最後の方は飽きてきた子もいたようですが、
お母さんのお手伝いもあったおかげで、8名は最後まで棋譜を書ききりました。
これで棋譜は大丈夫とは思いませんが、少なくとも第1歩は踏み出したと
思います。棋譜を覚えることは、英語だけでなく、数学でも役に立つことがあります。
学校でなく、チェスから覚えることが勉強に役立つなんて素敵じゃありませんか!
このとき作ったテキスト(右の写真)は、自分でいうのも何ですが、まあまあの出来。
興味ある方はダウンロードできます。
この日、上級者が1人も来なかったのは残念ですが、その後1時間ほどブリッツ(早指し)
をして遊び、生徒たちは棋譜書きで苦労したうっぷんを晴らして、帰宅しました。
クロステーブルの見方
チェス大会の結果はクロステーブル(対戦表)を見ると、ほとんどの情報がわかります。
参加者の対戦相手と結果を1試合ごとに並べたものがクロステーブルです。
(例:新春ブリッツ・チェス大会、
第4回函館チェス大会)たとえば、
1R(ラウンド)で、22番のプレーヤーが13○ならば、13番の相手と対戦して勝ったことを
表しています。そのときは1点が累加されます。
チェスでは勝ちが1点、負け0点、引分け1/2点として、その合計点で順位を
競います。同点の場合は決められたタイブレークで順位を確定します。
チェスではクロステーブルに累加得点を記入するのが一般的です。このホームページで
それをしないのは、単に対戦相手と得点の数字が判別しにくいという理由だけです。
海外では勝ちをW、負けをLなどと記載します。
表でTB1、TB2と書いてあるのは、優先順位1番と2番の
タイブレークの略称で、大会ごとにちがいます。
函館では通常@Buchholz(対戦相手得点合計)、
ABerger(勝利相手得点合計)としています。
クロステーブルが見れるようになるとよりチェスを楽しめるでしょう。
ぜひ海外の大会もチェックできるようにしてください。
特別な記号について
函館では(チェス界とちがい)次のような記号を採用しています。
○:勝ち1点、●:負け0点、△:引分け1/2点
□:不戦勝、■:不戦敗、▲:不参加引分け
大会プロフィール
☆大会名称: 新春ブリッツ大会
☆日時場所: 1月 8日(金)、
函館市花園団地集会所
☆主 催: 函館チェスサークル
☆大会形式: 加速スイス式、6回戦、持ち時間5分切れ負け、非公式戦、24名参加
☆タイブレーク:@ブッフホルツ(TB1 対戦相手得点)、Aベルガー(TB2 勝利相手得点)
新春ブリッツ・チェス大会入賞者
優 勝: 田中 春行 (6.0)
準優勝: 今野 周 (5.0)
第3位: 佐々木 翼 (4.0)
A優勝: 齋藤 詢 (4.0)
B優勝: 中貝 省吾 (3.0)
C優勝: 富田 敦志(3.0)
女子1: 金城 琉菜 (3.0)
クロステーブル
※チェス教室の生徒に大切なのは今の順位ではなく、5年先、10年先の順位です。
番 名前 級
1R 2R 3R 4R 5R 6R
合計 TB1 TB2 順 賞 01 田中 春行
04○ 02○ 11○ 09○ 06○ 07○
6.0 23 1 優 勝 02 今野 周
05○ 01● 15○ 10○ 09○ 04○
5.0 22 2 準優勝 03 佐藤 翼
06● 04● 19○ 24○ 14○ 09○
4.0 18 7 04 笹森 芳輝
01● 03○ 17○ 08○ 10○ 02●
4.0 24 13 4 05 土橋 衡充
02● 06● 20○ 21○ 15○ 10○
4.0 17 8 06 佐々木 翼
03○ 05○ 10● 12○ 01● 11○
4.0 24 15 3 第3位 07 齋藤 詢 A
16○ 12● 24○ 14○ 11○ 01●
4.0 21 5 A優勝 08 津 優大 A
17○ 11● 21○ 04● 18○ 12●
3.0 19 08 11 09 笹森 雄大 A
18○ 14○ 12○ 01● 02● 03●
3.0 24 9 A3位 10 渋谷 快成 A
19○ 22○ 06○ 02● 04● 05●
3.0 20 10 11 津 大洋 A
20○ 08○ 01● 18○ 07● 06●
3.0 19 05 12 12 津 大弥 A
21○ 07○ 09● 06● 17○ 08○
4.0 20 6 A2位 13 二川 愛 B
22● 24○ 18● 17● 16● 20○
2.0 11 22 14 中貝 省吾 B
23○ 09● 22○ 07● 03● 18○
3.0 16 14 B優勝 15 中貝 勇作 B
24● 19○ 02● 23○ 05● 21●
2.0 18 17 16 金城 透弥 B
07● 21● 23● 20○ 13○ 19○
3.0 13 16 B3位 17 金城 琉菜 B
08● 20○ 04● 13○ 12● 23○
3.0 15 15 女子1位、B2位 18 舛井 開 B
09● 23○ 13○ 11● 08● 14●
2.0 16 18 19 舛井 彩花 C
10● 15● 03● 22○ 24○ 16●
2.0 15 03 19 C2位 20 佐藤里乃佳 C
11● 17● 05● 16● 23● 13●
0.0 17 24 21 富田 敦志 C
12● 16○ 08● 05● 22○ 15○
3.0 17 13 C優勝 22 富田あやね C
13○ 10● 14● 19● 21● 24●
1.0 15 23 23 山上みさき C
14● 18● 16○ 15● 20○ 17●
2.0 13 21 24 山上 コウスケ C
15○ 13● 07● 03● 19● 22○
2.0 15 03 19 C2位
次回は、新ブリッツ・シード順
で実施します。
119号発行
函館チェスサークルの通信は下からダウンロードし、自由に印刷配布できます。
なお、申し訳ないですが、3日発行分より1月5日に若干改訂しました。
[ワード版]、
[PDF版]
PDF版はPDFリーダーという
無料ソフトでどのパソコンでも楽に閲覧、印刷可能。
<Contents>
新年のご挨拶
新年あけましておめでとうございます。
昨年は函館チェスサークルと、チェス教室が数でも内容でも大きな成長を果たすことができました。
第4回函館チェス大会も大成功でした。これらの成功は、先人の努力、そして現在の皆さんのサポートが
あればこそであり、感謝しております。
新しい方針で
会員の活躍も多かったです。田中春行君の全日本ジュニア4位タイ
(全日本小学生1位よりすばらしい!)、
佐藤君の札幌オータム4位、山田弘平の日本代表決定など…。
一方、チェス教室のことで、ご心配をおかけしたことがありました。申し訳ありません。
今年は事業の継続を最優先とし、継続の支障となっていた私個人の負担を軽減して
やっていきたいと思います。
それは、サークルの会員や、生徒の保護者の皆さんが運営に関わっていただくことや、
少しの新たな負担をおかけすることを意味しています。しかし、実はそれが本来的なサークルの
在り方なのであり、チェスが函館に根付くためには、不可欠な転換かもしれません。
誰かが全部かぶる組織は遅かれ早かれつぶれます。どうかその点をご理解いただき、
ご協力くださいますようお願いします。
そして、会員の活躍がもっとある年になりますよう、役員が各自の役割を果たすことをお約束して
新年のご挨拶とさせていただきます。
2010年元旦 山田明弘
<コンビネーションより>
※上杉晋作君のオリンピック有望選手選出の記事などは
前のニュースをご覧ください。
舛井さん転居
とても残念ですが、舛井さんたちが札幌へ転勤することになりました。短い間でしたが、
直接ルールを教えた二人には格別の思い入れがあります。札幌でも元気でいてください。
チェスの大会で会えるといいですね。
1月8日より活動開始
チェス教室函館は1月8日(金)より開始します。宿題を早く終わらせて、参加してください。
舛井さんたちが、引越し直前に顔を出されると伺っています。