優勝は吉井優紀彦さん(札幌)!
☆ とても面白い大会
今回の北海道選手権は例年以上の大混戦となり、いろいろと予想を越える結果が多くあり、結果を追っている方にはとても面白い大会でした。
それは札幌チェスクラブと函館チェスサークルの良いライバル関係があること、ベテランが新人としっかり対抗できていることが底流にあると思います。また旭川、東北など他地域からの固定した参加者がその中に入ってきてくれていることで新しいハーモニーが生まれています。
☆ 日本の地方大会としてナンバー1に近い大会
どこから来ている方でも、そこに年に1回、チェスをやってきた思いをぶつけようと集まってきているので、ガチンコ勝負になり、レーティングだけで勝負の予想がつかないことになるのでしょう。ですから参加者数でも、参加者の質でも、日本の地方大会としてナンバー1近い、見応えある大会になっていると思います。今後もそうあって欲しいものです。
☆ 吉井優紀彦さん、田中春行君、おめでとうございます!
そんな大混戦の中で、5ラウンド安定して強かったのが吉井優紀彦さん(札幌)と田中春行君(函館)でした。両者ともに優勝候補の一角をくずしていますから、文句なしの結果だと思います。特に吉井さんはその実力に見合った結果が少ない気がしますので、嬉しい結果だったと思います。おめでとうございます!
また、田中君は優勝とはなりませんでしたが、優勝と同じポイントを取り、実力的に北海道ナンバー1となったことは、今までの集大成になったことでしょう。機会があれば一人でこつこつチェスのトレーニングをしていた成果だと思います。小さいときから教えてきたコーチとしては大満足の結果でした。個人だけでなく、函館側にも大きな自信を与えてくれました。田中くんは、この大会を機に勉学に専念すると聞いていますが、いつかまたチェスにもどってきて欲しいと思います。
☆ 佐藤君と眞鍋さんは優勝をねらえた
第3位の佐藤翼君と眞鍋さんも安定した結果を出せることを示すことができました。もっとも、お二人とも優勝をねらえた位置にいるのですから、第3位は満足どころか悔しいと思っていることでしょう。そうでなくてはいけません。どちらも優勝して欲しい有望プレーヤーです。
☆ よくがんばった函館の参加者たち
函館からは多くのメンバーが参加しました。髙津優大君、大弥君、大洋君、高谷亮太君、奈央さん、そして内田大河君の初参加は嬉しい驚きでした。多く勝てなかったでしょうが、全敗でも恥じることはありません。慰めで言っているのではなく、このような大会では1勝の重みが大きいことが分かっただけでも、大きな経験値が得られたはずです。例えば小林由佳さんが前回の函館大会でいい成績を出したのは、その前に初参加していたからだと思っています。参加してたくましくなった顔をチェス教室で見たいと思います。次回はもう1つ2つ多く勝てるようにがんばりましょう。
また、連覇を逃した山田真明君も惜しいことをしました。吉井さんが強かったということです。
その中で渋谷快成君と髙津大弥君は自分より強い相手からポイントを奪ってくれました。大きな可能性を感じた結果を出したと思います。渋谷君はそろそろブレークするころでしょう。課題を克服すれば、次回は行けるはずです。
☆ 見えてきた課題
今回現場にはいませんでしたが、それでも見えてきた課題について、仲間として書かせてください。やはり、この規模の大会なら事前エントリー制にすべきですし、タイブレークは会場内でしっかり周知するべきでしょう。また、優勝に関してはタイブレークを適用してはなりません。どのタイブレークも欠点があり、必要最小限に適用するのが世界中で認知されている方向性だからです。(このことは私自身も、以前は知らなかったことです)
☆ 優勝のタイトルについて
トロフィー、賞状はタイブレークで与えていいのですが、優勝のタイトルは同時に与えるのがチェスのスイス式大会では普通です。昨年の女子選手権もそうでしたし(エピファニーさん、内田さんの同時優勝の例)、フランス選手権では5人が同時優勝しています。世界中でそうしているのです。また、さらに参加者が増え、32人をこえた場合は2リーグに分けないと論理的に優勝者と全国シードは決まりません。
いずれにしましても、大会の運営者の方々は大変なご苦労があったでしょう。その方々がいるからこそチェスができる事実に私たちは感謝すべきです。また、今大会の優勝、全国シード決定では運営側が正しいですし、私も支持することは念のため書いておきます。ただ、一般的なやり方ではないという主張をさせていただきました。
では、また来年の春に向けて、それぞれが自分のチェスを高めていきましょう!
2013年4月1日 チェス教室函館講師 山田 明弘