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世界チェス界の話題 [2013.09.24] >トップ

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ホウ・イーファン © Chessbase

チェスの女子世界チャンピオンはホウ・イーファン

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ホウ・イーファン © Chessbase


 9月10日から中国で行われていた女子世界選手権で、現チャンピオンのウシェニナ(ウクライナ)を破り、ホウ・イーファン(中国)がチャンピオンになりました。

 ホウ・イーファンは16歳でそのタイトルをすでに取っていましたが、昨年の勝ち抜き形式で決める世界選手権に敗れていました。

 現在19歳、ウシェニナに対し、4勝3分0敗の大差で再度チャンピオンに返り咲きました。

 この大差について、コーチのハリフマンは、「女子にはチェスがどうこうでなく、感情的な部分も大きい。」「とにかく、敵地中国でのマッチは不利だ。」などと語っていました。

 「みんなが思っているほど簡単に勝てたわけじゃない。」「でも地元の期待は分かっていたので、勝ててうれしい。」と、インタビューに答えていたホウ。 「次はもっと人生に広がりが出るようにしたい。」という抱負も語っていました。

 中国はもともと中国象棋が盛んな国でした。国家プロジェクトを立ち上げ、チェス界で中国のパワーを見せつけるまでにそれほど年数はかかりませんでした。すばらしい成果だと思います。日本がその気になれば、それ以上の成果があるはずと思うのですが、それは、かいかぶりなのでしょうか?

カールセン 対 アナンド 夢のマッチが実現!

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カールセン(左)、アナンド © Official website

 来たる11月7日から、インドのチェンナイで男子(というより男女共通の)チェス世界選手権が行われます。

 実力も権威もそなわった40代チャンピオンのアナンド(インド)、そして、そのアナンドのはるか上、史上最高のレーティングを持つ若き天才カールセン(ノルウェー)、その二人の対決は長い間チェス・ファンの夢だったと言えます。とうとう、その夢のマッチが実現しました!

 誰もがカールセン優勢は認めていますが、これまでマッチ戦でクラムニック、ゲルファントら名うての強敵を撃破してきたアナンドですから、何が起こるか分かりません。まちがいなく一番期待できるマッチになるでしょう。

 なお、マッチは12回戦のクラシカル・チェスです。それでどちらも 6.5 点を取らなかった場合は、ラピッド4局のタイブレーク。それで決まらなければ2局のブリッツを5回繰り返し、最後はアルマゲドンとなっています。

 この場合、クラシカルとは40手120分+20手60分+15分(1手ごとに10秒累加)の持ち時間です。これはチェス公式戦としてはおそらく最長でしょう。これ以上の持ち時間だとプレーヤーへの拷問になるでしょうから・・・。

<世界チェス選手権の 公式サイト (英語) >

FIDEグランプリ・パリ大会

 次期の世界選手権挑戦者を決める大会に出場するためにFIDEグランプリとワールドカップがすでに行われてきました。その最終戦が今パリで行われているものです。これに、アニッシュ・ギリ君(オランダ19歳)が出場しています。

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パリ大会開始前のアニッシュ・ギリ © Official website

 彼は函館チェス教室を応援してくれています。今度はこちらが彼を応援したいと思います。くわしくは 公式サイト (日本語)をご覧ください。

まちセン例会 [2013.09.22]>トップ

公式戦記録

例会公式戦 2013.09.21
ボード 白 番 JCA 結 果 黒 番 JCA
1 桑原 博暉 915 0 - 1 大隅  守 803
2 大隅  透 1362 1 - 0 桑原 俊樹 873
3 高橋 栄三 812 1 - 0 松浦  誠 1023
4 松浦  誠 1023 0 - 1 高橋 栄三 812

コンビネーション241号 [2013.09.07]>トップ

 

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コンビネーション241

優れた芸術家は真似る

<函館チェスサークル・インターネット通信>
2013年9月6日発行
giri
ギリさん一家と(写真はダウンロード可!)

レペティション Repetition

 チェスはドローがあるからつまらない? いえいえ、勝ち、負け、ドローの3種類の結果があるから難しいのです。ドローに逃げる技術も大切。その第1はレペティション(千日手)でしょう。

負けとドローは大ちがい

 チェスでは3回同じ局面をくり返すと、(正確にはその直前で)ドローになります。ステール・メイトと同じように、これを利用すると負けている方には有効な武器になるのです。1図、白次の1手は?

 図1
nextmove

 答え以外の手では絶対に負けとなります。大会なら、負けとドローは大ちがい!

<前号の問題解答>


白の次の1手

正解

nextmove

1.Bc7 ! クイーンに当てた手ですが、クイーンは逃げられません。黒は2...Qxc7 3.Nxc7 Kxc7 としてドローをねらうしかなく、必勝の形が消えました。

他の問題の答は、順にKe2、Rh1、g3からKg2、b4からc5 でした。(訂正済)

今年の予定

チェス教室函館:金曜日19時~21時
9月13日(公式戦3R)     9月20日(ブリッツ)
10月 4日(公式戦4R)    10月11日(ブリッツ)
10月18日(公式戦5R)    10月25日(ブリッツ)
11月 1日(公式戦6R)    11月 8日
11月15日                                11月22日
11月30日(土)函館チェス大会・・・??
12月 6日                                12月20日
12月27日
まちセン例会:日曜日14時~17時
(初心者教室13時~、例会は遅刻早退自由)
9月22日              9月29日                
10月13日(日)    10月20日(日)チェス大会?
10月27日             11月 3日             11月17日
12月 1日             12月15日            

うまい人の真似から始めましょう

 ピカソは「優れた芸術家は真似る。偉大な芸術家は盗む」と言ったそうです。どんなスポーツもそうですが、チェスも同じ。うまい人の真似から始めましょう。自分のゲームが終わったら、ぜひうまい人の近くに寄って、じゃましないように観てください。

コンビネーション240号 PDF

JCAチェス大会の運営ミスについて [2013.09.05] >トップ

 このサイトをお借りしてJCAのチェス大会の運営ミスについて、いちJCA会員の意見を発表させてください。

新しいソフト導入のせいではない

 最近JCA大会で運営のミスが連続しました。直近ではジャパン・リーグです。日本のチェス・ファンとしてはとても悲しいことでした。ミスが続く原因は何でしょうか。これが将棋、あるいはテニスとかの全国大会であれば、責任問題に発展しているでしょう。

 この事件について、得られる情報は限られますが、その情報からだけでも言っておきたいことがあります。その運営ミスは、新しいソフト導入のせいではないということです。その結論では事件の本質を見失ってしまうでしょう。

タイブレーク設定がどうとかいう問題以前

 たとえば、ジャパン・リーグではタイブレークを明確に宣言し、ソフトを設定するという基本的なことを怠っていました。これではソフトが完璧でも事故が起こって当たり前です。ソフトのタイブレーク設定がどうとかいう問題以前でしょう。

取り返しがつかない最悪の事態

 さらにもうひとつ。経験ある運営者からすれば、最終ラウンドが始まってからが緊張の時間の連続です。表彰式で起こりうる失敗の例が次々と浮かび、それを回避するべくいろいろと試行するからです。タイブレークがらみは一番神経を使います。後から実は○○が何位でした、という失敗は、もう、取り返しがつかない最悪の事態だからです。(私でも冷や汗をかいた経験が何度かあります!)

 また、ソフトの結果がどうであれ、ペアリングがおかしいという感覚が運営者には必要です。それで単純ミスを防ぐことができるからです。アービターの資格があるないより、ペアリング、タイブレーク、スイス式、チェスのルール、それらの知識が大切です。結果や設定を複数でチェックするのも常識であり、言うまでもないでしょう。

絶対にやってはいけないこと

 さらに、女子選手権では遅れた選手のためにペアリングをやり直したと聞いています。それはもちろん絶対にやってはいけないことでした。

 まず事前エントリーをしていたのでしょうか?(事前エントリーは函館が日本に導入しました。海外では普通のことです。昨年の女子選手権は当日に選手が判明する大会であり、事前エントリーにはなっていませんでした。)

 当日受付ならば、遅れた選手を入れてペアリングする必要はありません。たとえその人がグランド・マスターでも、受付に遅れたら1ラウンドに入れるべきではないでしょう。(その選手には何の罪もありませんが、全国レベルの大会に参加する資格は疑われます。)

 もし事前エントリーをしていたのなら、その選手が来ていなくてもペアリングするべきです。そして、開始のときに審判が時計を押して始めます。それが公平で正当な運営です。結果的にJCAはそのどちらもしなかったのですから、その大会結果が無効だと誰かが訴えたら、やり直ししかありません。(これが他のスポーツのオリンピック選抜大会ならそうなっています!)

マニュアルなしで使用できる

 運営の失敗はコンピューターやソフトのせいではありません。

 それは以上の例から、お分かりになると思います。最高のソフト、最新のコンピューターを使っても、使う人間が運営のイロハをやり切る気がないなら、失敗します。もしもこの失敗が、新しく導入したソフト、スイス・マネージャーのせいだという人がいたら、公開討論をして反駁したいと思っています。

 スイス・マネージャーに公式マニュアルがないのは、マニュアルなしで使用できるくらい簡単だからです。(一応、 日本語マニュアル は函館チェスサークルで作成し、札幌チェスクラブでも試されました。)

影のヒーローたち

 ここから本題とはずれますが、JCAの会員に呼びかけたいことがあります。

 チェス大会の運営や審判はやりがいのある仕事です。選手が力を発揮できるようにサポートします。いいゲームが生まれたとき、入賞者の晴れやかな顔を見たとき、プレイヤーでは決して味わえない充実感があります。(私自身はプレイヤーでいたいですけれども。)

 高校野球はボランティアが審判、運営にたずさわって成立しています。野球を愛する人達によって支えられて成立しています。誤審で批判される可能性さえ顧みません。どんなスポーツもそんな影のヒーローたちが支えています。日本のチェス界にはそんなボランティアがいないのでしょうか。

 スタッフが少ない現在、今後も事故はさけられないでしょう。そうであれば、ぜひ心あるボランティアが出てきてとって代わっていただきたいと思っています。また、選手のみなさんには、そんな運営を許さないように、もっともっと怒っていただきたいと思います。こんな運営を許しているチェス・プレイヤーは何と心が優しいのでしょうか!

 でも、その優しさでチェスというすばらしい文化を傷つけています。どうかそのことに気づいてください。「チェス・プレイヤー」であるという、その誇りを守るためにも、ときにはプレイヤーを支える側に立って考え、行動してほしいのです。

 そんなチェス・プレイヤーが増えたなら、日本チェス界は確実に変わると思いますが、いかがでしょうか。

   函館チェスサークル副代表 山田 明弘

 ※ JCAスタッフから事の次第を書いたブログが出ていました。 ここにリンク貼ります。